文部科学省および日本学術振興会が実施する科学研究費助成事業より。
常葉大学健康プロデュース学部、教授の中澤 寛元氏の研究論文です。
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以下、概要。詳しくは、原著をご覧ください。
古来より伝承され現在でも活用されているツボを活用しストレスマネジメントのためのセルフケアへの活用を目的に、その特異的な作用の有無について検証するとともに、ツボ刺激による効果について、HPLCを用いてストレスとの関係が深い脳内微量物質の変化を指標に、その効果にの基礎的な知見の集積をおこなった。
実験はWister系ラットを対象とし、針によるツボ刺激をおこない、刺激による反応が得られやすい部位の検索をおこなった。
結果、前肢や体幹部より後肢の反応がより強く出現するなど、部位による反応が変化する傾向が観察された。
また反復寒冷負荷(SART:Specific Alternation of Rhythm in Temperature )によるストレスモデル動物を対象として検討したところ、同様な結果が得られた。
以上の検討から、刺激により脳内微量物質の動態に影響を与える可能が考えられるツボとして足三里穴相当部位などが抽出された。
そこで、ツボ刺激として誰でも簡便におこなえるものである「触刺激」による作用について同種の実験系で検討をおこなった。
ツボへの触刺激は、生体に対して非侵襲かつ定量的なものである必要から、非能動的接触針であるマイクロコーンを用いた。
検討の結果、ツボへの触刺激においても針刺激同様な傾向が観察され、脳内微量物質(側坐核ドーパミン、PAGヒスタミン)に有意な変化を来すことが分かった。
また、この現象は中脳腹側被蓋野の破壊により消失したことも明らかとなった。
以上から生体へのツボ刺激による特異的な現象はもとより、その刺激効果の発現に触刺激でも有効に作用する可能性が示唆された。